世界の富豪列伝 - 富豪のマネー哲学に学べ!

歴史に名を残した世界の富豪たちは皆、独自の人生観とマネー哲学を持っていました。時代を超えて通用する彼らの叡智に学びましょう。

第9回 アリストテレス・ソクラテス・オナシス
富、名声、美女の全てを手にしたギリシャの海運王

2008年11月12日
アリストテレス・ソクラテス・オナシス

華麗でスキャンダラスな大富豪

20世紀最大の海運王といわれたアリストテレス・オナシスは、オペラ歌手マリア・カラスとの恋愛、元ケネディ大統領夫人のジャクリーヌとの結婚などの華麗なゴシップで名を馳せたことでも人々の記憶に残っています。「オナシス帝国」の巨万の富は、財政難にあえぐモナコ王国を実質的に買い取るほどの力を持ち、ついにはハリウッドの大女優グレース・ケリーをモナコ公妃に迎えました。オナシスの孫が3歳で相続した遺産は1兆円にものぼったといわれています。それほどの巨富を集めたオナシスのビジネス手法は合理的そのもので、「私には友人も敵もない。あるのは競争相手だけ」と宣言。「道徳よりもお金」と信じ、税金逃れにも腕を振るったといいます。

富、名声、社交界での地位、そして美女たちとの恋まで、最高のものを手に入れたオナシスですが、その人生には暗い影がつきまといました。叩き上げの彼は、富豪になってからも、周囲の人びとに対するコンプレックスが癒えず、強引な振る舞いでセレブリティたちの軽侮を買います。二度目の妻、ジャクリーヌは彼の財産を浪費するばかりで、愛を与えることはなく、跡継ぎ息子アレキサンダーは事故で早世し、本人も晩年には筋無力症を病み、苦しい闘病に耐えることになりました。

波乱万丈の人生にふさわしいビジネスの出発

1906年、ギリシャの港町スミルナで、オナシスは裕福なタバコ商人の父と、村の長老の娘だった母との間に生まれました。父のソクラテスはギリシャ系トルコ人でしたが、ギリシャ人としての自負が強く、オナシスにもギリシャの神の名をとってアリストテレスと名づけました。商売上手な父親は息子にも、「つきあう人間は、どれだけ自分の得になるかで決めろ」と教えたといいます。そんな一家に事件が起きたのは1922年のこと。トルコ人の暴動で父とオナシスが投獄され、継母と三人の妹はギリシャへ避難することになったのです。釈放後二人は家族を追ってアテネにたどり着きますが、難民同然の父親は商売がうまくいかず、家族が食べていくにも窮します。そこで翌年、家族のためにオナシスがチャンスをつかみに外国に出ていくことになったのです。

オナシスは南米のアルゼンチンに向かいました。皿洗いなどをしながらチャンスをうかがい、1924年には電話会社に職を得て、猛訓練を受けた末、夜間の電話交換手になります。昼間の時間が自由になったオナシスはこのチャンスを逃さず、父から得た知識やコネクションを利用して、現地では珍しかったヨーロッパタバコの輸入業を始めました。当時のアルゼンチンでは女性の喫煙はタブー視されていましたが、恋人となった人気ソプラノ歌手に人前で吸うように依頼し、宣伝効果を狙います。一日の睡眠時間は三時間。交換手の仕事中に株式の儲け話を盗聴して利を得、投機でも儲けます。2年間で10万ドルを貯めたオナシスは、ギリシャ・アルゼンチン両国間の新通商協定の交渉にあたる特別大使に任命されるなど頭角を現します。ここで得た外交特権を使って外貨を闇で売買し、25歳になるまでに推定100万ドルの資産を手にします。

先見の明により、海運業で一大事業を完成させる

タバコの輸入をしながらも、オナシスの関心は海運業に向いていました。「海運業こそ、本物の富があるところだ」。大金が動く海運業の魅力にオナシスは取りつかれました。大恐慌で値が暴落した7000トンの貨物船を購入するも、すぐに嵐に遭って沈没。その後、カナダの汽船会社が二束三文で売りに出した10隻の遠洋貨物船のうち6隻を購入します。ただし、カナダ人たちが青ざめるほど値切ったことは言うまでもありません。オナシスは海運業にも「石油時代が到来する」と予測しました。当時の主要エネルギーだった石炭が、まもなく石油に替わるといち早く見抜いたのです。1936年から39年の間に最初のタンカー2隻を建造。石油タンカー事業を最初に手がけたギリシャ人船主となり、このタンカーが後の海運帝国の基礎となりました。

第二次大戦後にはアメリカが払い下げた船で、さらに富を増やします。ギリシャに帰国したオナシスは、地元の老舗海運業者の娘と結婚。石油運送の権利を義父から譲り受けます。この結婚で彼はギリシャの上流階級入りをし、大金をかけて社交界に誇示するための豪華ヨットを建造します。「屋根裏部屋でもいいから、聞こえのいい住所に住め。グラス一杯分払うのがやっとでも、酒は高級クラブで飲め」という金銭哲学を語っていたオナシスは、ついにギリシャ最高の名士になったのです。

動乱の時代に生まれ、何も持たずに世界に船出せざるを得なかった若者は、どんな時代にもお金だけは裏切らないと信じ、富への道を邁進したのでした。

カードローン・キャッシングの活用も綿密な計画がカギ

どんな挑戦にも計画は必要です。キャッシング、カードローンは目的と返済計画を綿密に考えましょう。計画を立てるという手順をきちんと踏むことで、お金は有効な働きを見せてくれます。

[参考文献]
P・エヴァンス『オナシスの生涯』新潮文庫
現代世界ノンフィクション全集 6 『死の商人ザハロフ 海運王オナシス 世界一の富豪アリー・カーン』(筑摩書房)

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